統計検定2級の仮説検定は、試験の中でも最頻出のテーマです。しかし、「どの検定を使えばいいかわからない」「p値の解釈が曖昧」という方も多いと思います。そこでこの記事では、統計検定2級の仮説検定に関する練習問題を10問掲載しています。また、すべての問題に解説付きの解答を用意しています。したがって、独学での試験対策にぜひご活用ください。
- 帰無仮説・対立仮説の設定
- 有意水準と棄却域
- z検定・t検定
- p値の解釈
- 第一種・第二種の過誤
統計検定2級 仮説検定とは
仮説検定とは、データをもとに仮説の正しさを確率的に判断する方法です。つまり、「差がある」「効果がある」といった主張を、数値的な根拠をもって判断できます。統計検定2級では、z検定・t検定・比率の検定など、さまざまな種類の仮説検定が出題されます。したがって、基本的な考え方と計算手順をしっかり身につけることが合格への近道です。
仮説検定の基本的な手順
まず、仮説検定の基本手順を確認しておきましょう。手順は以下のとおりです。
- 帰無仮説と対立仮説を設定する:「差がない」という帰無仮説と、「差がある」という対立仮説を決めます。
- 有意水準を決める:一般的にα=0.05(5%)を使います。
- 検定統計量を計算する:z値またはt値を求めます。
- 棄却域と比較して結論を出す:検定統計量が棄却域に入れば帰無仮説を棄却します。
したがって、この手順を意識しながら以下の練習問題に取り組んでみてください。
練習問題
仮説検定において、帰無仮説が正しいにもかかわらず棄却してしまう誤りを何というか。また、その誤りを犯す確率を何と呼ぶか。
仮説検定には2種類の過誤があります。それぞれの意味を整理しておきましょう。
・第一種の過誤:帰無仮説が正しいのに棄却してしまう誤りです。冤罪に例えられます。
・第二種の過誤:帰無仮説が誤りなのに棄却しない誤りです。真犯人を逃がすことに例えられます。
つまり、どちらの過誤も「判断のミス」ですが、性質が異なります。
ある工場で製造されるボルトの直径は、従来の平均が10.0mm、標準偏差が0.2mmの正規分布に従うとされていた。新しい製造方法に変更後、25本を無作為抽出したところ、標本平均が10.08mmだった。有意水準5%で、平均値が変化したかどうかを両側検定せよ。
帰無仮説:μ=10.0 / 有意水準:α=0.05(両側) / 棄却域:|z|>1.96
まず、z値を求めます。
z = (x̄ − μ) ÷ (σ ÷ √n)
z = (10.08 − 10.0) ÷ (0.2 ÷ √25)
z = 0.08 ÷ 0.04 = 2.0
次に、棄却域と比較します。|2.0| > 1.96 となるため、帰無仮説を棄却します。
p値が0.03であった。有意水準を5%と設定していた場合、この検定の結論として正しいものはどれか。
② 帰無仮説を棄却しない(有意差なし)
③ 対立仮説を棄却する
④ 判断できない
p値(0.03)< 有意水準α(0.05)のとき、帰無仮説を棄却します。したがって、「有意水準5%で有意差あり」という結論になります。
母平均が未知の正規分布に従う母集団から、標本サイズn=16のデータを得た。標本平均x̄=52.0、不偏標準偏差s=4.0であった。母平均μ=50に対してμ>50の片側検定を有意水準5%で行え。
t = (52.0 − 50) ÷ (4.0 ÷ √16) = 2.0 ÷ 1.0 = 2.0
2.0 > 1.753 となるため、帰無仮説を棄却する。
有意水準を小さくすると、どのような影響があるか。第一種の過誤と第二種の過誤の観点から説明せよ。
有意水準αを小さくすると、棄却域が狭くなります。そのため、帰無仮説を棄却しにくくなります。結果として、以下のような影響が生じます。
・第一種の過誤α:減少します(より慎重に棄却するため)
・第二種の過誤β:増加します(本当は棄却すべき場合でも棄却しにくくなるため)
コインを100回投げたところ、表が60回出た。このコインが歪んでいるかどうかを有意水準5%で両側検定せよ。
標本比率:p̂ = 60÷100 = 0.6
標準誤差:√(0.5×0.5÷100) = 0.05
z = (0.6 − 0.5) ÷ 0.05 = 2.0
|2.0| > 1.96 となるため、帰無仮説を棄却する。
「検定結果が有意でなかった」ことは、「帰無仮説が正しい」ことを証明するか。理由も含めて答えよ。
仮説検定は「帰無仮説を棄却するかしないか」を判断する手続きです。したがって、棄却しなかったとしても、それは帰無仮説が正しいことの証明にはなりません。たとえば、標本サイズが小さすぎて検出力が低い場合、本当は差があっても有意にならないことがあります。つまり、「有意でない」という結果は、データ不足が原因である可能性もあります。
ある薬の効果を検証するため、服用群(n=100)と非服用群(n=100)の回復率を比較した。服用群の回復率は75%、非服用群は65%だった。2つの母比率に差があるか、有意水準5%で両側検定せよ。
プールした比率:p̂=(75+65)÷200=0.70 / 棄却域:|z|>1.96
√(0.70×0.30×(1/100+1/100)) = √0.0042 ≒ 0.0648
z = (0.75 − 0.65) ÷ 0.0648 ≒ 1.54
|1.54| < 1.96 のため、帰無仮説を棄却しない。
両側検定と片側検定について、どのように使い分けるか説明せよ。また、同じデータで片側検定の方が有意になりやすい理由も述べよ。
まず、検定の方向性によって使い分けます。
・両側検定:方向を問わず「差があるか」を検証する場合に使います。
・片側検定:「特定の方向に差がある」と事前に予測できる場合に使います。
両側検定ではα/2=2.5%ずつ両側に分かれます。一方、片側検定では5%すべてが一方の側に集中します。したがって、棄却域が広くなり、有意になりやすくなります。つまり、同じデータでも片側検定の方が帰無仮説を棄却しやすいのです。
ある工場の製品の重量について、従来の平均は500gとされていた。新しいロットから16個を無作為抽出し、以下のデータを得た。平均が変化したかを有意水準5%で両側検定せよ。
自由度15のt分布の両側5%点:t(15, 0.025)=2.131
t = (494 − 500) ÷ (12 ÷ √16) = −6 ÷ 3 = −2.0
両側検定の棄却域は |t| > 2.131。
|−2.0| = 2.0 < 2.131 のため、帰無仮説を棄却しない。
統計検定2級 仮説検定 重要ポイントまとめ
- 第一種の過誤(α)と第二種の過誤(β)はトレードオフの関係にある
- p値<有意水準αのとき、帰無仮説を棄却する
- 母標準偏差が既知→z検定、未知→t検定(自由度n−1)
- 有意でない=差がないの証明ではない
- 片側・両側検定の選択はデータを見る前に決める



