「この問題はz検定?それともt検定?」——z検定とt検定の違いがわからず、統計検定2級で点数を落とした経験はありませんか。

実は、筆者もこの使い分けで何度も間違えました。しかし、たった1つの判断基準を覚えたことで、迷わなくなりました。この記事では、z検定とt検定の違いをフローチャート付きで解説します。したがって、「どっちを使うか」で迷うことがなくなるはずです。

この記事でわかること
  • z検定とt検定の違いを一言でいうと何か
  • どっちを使うかの判断フローチャート
  • それぞれの検定統計量の公式と使い方
  • 確認用の練習問題3問(解説付き)
筆者の失敗談 統計検定2級を受験した際、z検定とt検定の違いがあいまいなまま試験に臨んでしまいました。その結果、検定統計量を間違えて立式し、何問か落としてしまいました。つまり、「どっちを使うか」を瞬時に判断できることが合格の鍵だったのです。
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1. z検定とt検定の違い|結論から

まず結論です。z検定とt検定の違いは、たった1つの条件で決まります。

使い分けのルール
  • 母標準偏差σが「わかっている」 → z検定を使う
  • 母標準偏差σが「わからない」 → t検定を使う

つまり、問題文に「母標準偏差は〇〇である」と書いてあればz検定です。一方、「不偏標準偏差」「標本標準偏差」と書いてあればt検定になります。したがって、問題文の「σ」か「s」を見るだけで判断できます。

覚え方のコツ 「σ(シグマ)が見えたらz」「s(エス)が見えたらt」。これだけです。試験中にこの2文字を探す習慣をつけましょう。

2. z検定とt検定の違い|比較表

次に、z検定とt検定の違いを詳しく比較します。以下の表で整理しておきましょう。

項目z検定t検定
母標準偏差σ既知(わかっている)未知(わからない)
使う統計量z値t値
従う分布標準正規分布 N(0,1)自由度n−1のt分布
分母に使う値σ(母標準偏差)s(不偏標準偏差)
棄却域の求め方z表から求めるt表から自由度ごとに求める
標本サイズnが大きい場合そのまま使えるz検定に近似する

このように、z検定とt検定の違いは「σが既知かどうか」という1点に集約されます。しかし、実際の問題ではもう少し判断が必要な場面もあります。したがって、次のフローチャートで確認しましょう。

3. z検定とt検定の違い|判断フローチャート

では、実際の試験問題で「どっちを使うか」を判断するフローチャートを紹介します。覚えておくと、試験中に迷うことがなくなります。

母標準偏差σが問題文に書いてある?
YES → σが既知
z検定を使う
NO → σが未知
t検定を使う

問題文で見分けるキーワード一覧

また、問題文に登場するキーワードでも判断できます。以下の表を参考にしてください。

キーワード意味使う検定
「母標準偏差は〇〇」「σ=〇〇」σが既知z検定
「母分散は〇〇」「σ²=〇〇」σが既知(√で求める)z検定
「不偏標準偏差s=〇〇」σが未知t検定
「標本標準偏差は〇〇」σが未知t検定
「標本から求めた標準偏差」σが未知t検定

したがって、問題文を読んだらまずこのキーワードを探すことが重要です。計算に入る前に「z検定かt検定か」を確定させることが、得点につながります。

4. z検定とt検定の公式

次に、それぞれの検定統計量の公式を確認しておきましょう。なぜなら、z検定とt検定の違いは公式にも反映されているからです。

z検定の公式と使い方

z検定では、分母に母標準偏差σを使います。σが問題文に与えられているため、そのまま代入して計算できます。

z検定の検定統計量
z = (x̄ − μ₀) ÷ (σ ÷ √n)
x̄:標本平均 / μ₀:帰無仮説の母平均
σ:母標準偏差(既知) / n:標本サイズ

t検定の公式と使い方

一方、t検定では分母に不偏標準偏差sを使います。また、自由度n−1のt分布表から棄却域を求める点がz検定と異なります。

t検定の検定統計量
t = (x̄ − μ₀) ÷ (s ÷ √n)
x̄:標本平均 / μ₀:帰無仮説の母平均
s:不偏標準偏差(標本から計算) / n:標本サイズ
自由度 = n − 1

このように、z検定とt検定の違いは分母がσかsかだけです。公式の構造はほぼ同じなので、どちらを使うかさえ判断できれば計算手順は変わりません。

重要な注意点 t検定では「自由度n−1」のt分布表を使います。一方、z検定では標準正規分布表(z表)を使います。したがって、参照する表も異なる点を覚えておきましょう。

5. 練習問題|z検定かt検定かを判断しよう

最後に、z検定とt検定の違いを確認するための練習問題を3問用意しました。実際に問題を解いて、判断力を身につけましょう。

練習問題1:母標準偏差が与えられるケース

問題 1

ある製品の重量は母標準偏差σ=5gの正規分布に従うとされている。25個の標本平均が102gだった。母平均は100gかを有意水準5%で両側検定せよ。

z検定を使う。z=2.0 → 棄却する(有意差あり)
なぜz検定か?
問題文に「母標準偏差σ=5g」と書いてあります。つまりσが既知です。したがってz検定を使います。
計算
z = (102 − 100) ÷ (5 ÷ √25) = 2 ÷ 1 = 2.0
|2.0| > 1.96 のため、帰無仮説を棄却します。

練習問題2:不偏標準偏差が与えられるケース

問題 2

10人の学生のテスト結果から、標本平均x̄=78点、不偏標準偏差s=6点を得た。母平均が75点より大きいかを有意水準5%で片側検定せよ。(t(9, 0.05)=1.833)

t検定を使う。t≒1.58 → 棄却しない(有意差があるとはいえない)
なぜt検定か?
問題文に「不偏標準偏差s=6点」と書いてあります。これはσが未知でsを使っているためです。したがってt検定を使います。
計算
t = (78 − 75) ÷ (6 ÷ √10) = 3 ÷ 1.897 ≒ 1.58
1.58 < 1.833 のため、帰無仮説を棄却しません。

練習問題3:母分散が与えられるケース

問題 3

ある部品の長さは母分散σ²=4の正規分布に従う。36個の標本平均が50.5mmだった。母平均が50mmと異なるかを有意水準5%で両側検定せよ。

z検定を使う。z=1.5 → 棄却しない(有意差があるとはいえない)
なぜz検定か?
問題文に「母分散σ²=4」と書いてあります。これはσ=√4=2として求められるため、σが既知です。したがってz検定を使います。なお、「母分散」と書いてある場合も、σが既知であることを意味します。
計算
σ=√4=2
z = (50.5 − 50) ÷ (2 ÷ √36) = 0.5 ÷ 0.333 ≒ 1.5
|1.5| < 1.96 のため、帰無仮説を棄却しません。

まとめ:z検定とt検定の違いはσが既知かどうか

z検定とt検定の違いまとめ
  • z検定とt検定の違いは「母標準偏差σが既知かどうか」で決まる
  • σが既知 → z検定、σが未知(sを使う)→ t検定
  • 公式の構造はほぼ同じで、分母がσかsかだけが違う
  • 問題文の「σ」「s」「母標準偏差」「不偏標準偏差」を探すのがコツ
  • t検定では自由度n−1のt分布表を使うことを忘れずに

z検定とt検定の違いは、最初は混乱しやすいポイントです。しかし、「σかsか」というたった1つの判断基準を覚えてしまえば迷うことはなくなります。したがって、この記事のフローチャートを頭に入れて、統計検定2級の合格を目指してください。